2024アジアカップ優勝候補戦力分析(日本、韓国、イラン、オーストラリア)

 まずアジアカップの優勝候補はどこか。チームの強さを客観的に測る指標としてはEloレーティングがある。(過去記事参照)

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アジアカップ出場国のEloレーティングを上から並べると日本1909、イラン1829、韓国1803、オーストラリア1787となっており、これより下とは100以上差がある。各社のオッズを見てもこの4チームに開催国のカタールを加えた5チームまでが現実的な優勝候補とみなされており、実力的にはアジアの中で抜きんでていると言えるだろう。

 というわけでこの4チームの戦力をSofascoreを中心に評価し分析していく。Sofascoreについても以前の記事で解説しているが、スタメンであれば6.8~6.9程度で平均的で、7.0を超えていれば優秀と見てよい。もちろんそのリーグ内における評価であり、他のリーグの選手と比較する場合にはリーグレベルを考慮する必要がある。

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「埼玉は東京のベッドタウン」は本当か?通勤・通学先を徹底検証

 「埼玉は都内に住めない人間が仕方なく住むところ」などと揶揄されることもあるが、「埼玉」と言ってもその実態は地域ごとに大きく異なる。そこで令和2年国勢調査のデータから、各市町村ごとに通勤・通学先の上位5位までを表にまとめて検証してみた。東京特別区部(=23区)はすべてまとめて「東京23区」としている。

さいたま市

 さいたま市全体では23区への通勤通学率が約25%だが、旧大宮市地域は低めに、市南部に相当する旧浦和市地域では高めになっており、特に埼京線が通る浦和区、南区は30%を超えている。逆に旧大宮市地域ではいずれの区もさいたま市内への通勤通学率が50%を超えているが、旧浦和市地域では桜区のみとなっている。「さいたま市内で生活する大宮地域」と「23区への依存度が高い浦和地域」という対比が目立つ結果となった。また岩槻区は23区への通勤通学率が他と比べてかなり低めで、春日部や越谷など県東部地域との結びつきが深いようだ。

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「Optaパワーランキング」でJリーグと世界のサッカーリーグのレベルを比較

 2023年1月より、Opta Analystにて「Optaパワーランキング」が公開されている。

The Best Football Teams in the World: Opta Power Rankings

Optaの説明によれば、183カ国の413のリーグにおよぶ、約13500チームの強さを0~100の数値で表しているそうだ。確認したかぎり日本ではJ1・J2はもちろん、関東サッカーリーグなどかなり下部リーグのチームも含まれている。ランキングは比較的頻繁に更新されているようだ(3/19現在の最終更新日は3/17)。もともと欧州各国のリーグに関しては各チームや各リーグのEloレーティングが算出され比較が行われていたが、これの登場によって欧州以外のチームとも比較することが可能になったというわけだ。

 肝心の算出方法だが、基本的にEloレーティングを用いてるとのこと。Eloレーティングについては以前の記事でもいくつか紹介しているので、興味のある人は参照されたし。

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Optaパワーランキングが通常のEloレーティングと異なるのは、「チームによっては異なる国や大陸のチームと試合をする機会がほとんどない」というサンプル不足の問題を解消するために、「ヒエラルキーシステム」が採用されている点だ。

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「本当に決定力のある」選手は誰なのか?xGOTを使い検証する

 xGOTについては以前の記事でも紹介しているが、あらためて概要を説明しておこう。

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xGOTとはxG(ゴール期待値)の改良指標である。xGはシュートスポット、シュートの種類、相手DFとの距離、パスの種類、角度、スピードなどから算出されており、いわば「シュートを打つ前」のチャンスとしての大きさを表したものである。xGOTはこれに加えてシュートコースを考慮に入れており、「シュートを打った後」のチャンスの大きさを表しているといえよう。xGでは同じようなシチュエーションからゴールになる確率を算出することはできるが、シュートを打った選手のシュート技術までは考慮できない。同じ状況から放たれたシュートであっても、ゴールの中央に転がっていくグラウンダーのシュートと、コーナー上方に飛んでいくシュートとでは後者のほうがゴールになる確率が高いのは明らかだ。毎年xGと比較して実際のゴール数はもっと多いという選手がいるが、そういう選手はxGOTで見るとさらに高い数値を記録しているケースが多い。xGで期待される得点チャンスよりも、その選手のシュート能力(xGOT)によって得点チャンスをさらに拡大させたということだ。つまりxGとxGOTを比較することで、その選手の「シュート決定力」が見えてくるのだ。

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機械採点「Sofascore」で見る選手評価。知られざる「日本人最強選手」とは

 機械採点とは、客観的指標に基づいて選手の評価、採点を行っているサイト全般のことである。WhoScored、Sofascore、FotMobなどが有名だが、今回はSofascoreについて取り上げよう。

https://www.sofascore.com/

 Sofascoreでは各選手についてゴール、アシストの他にパス、キーパス、決定機創出、ドリブル、地上戦、空中戦、タックル、インターセプト…など、さまざまなイベントを集計し、逐次選手の採点を算出している。

例えばFAカップリバプール戦の三笘はゴール1、決定機創出1、キーパス1、ドリブル成功7/10、デュエル勝利9/13などのスタッツを記録し、採点8.0だった。Sofascoreによれば採点は全選手の平均値で6.86だそうだ。ただし平均値は一部の上位選手によって引き上げられており、最頻値(最もよく出る数値)は6.6だという。言うまでもなく8.0は素晴らしい評価だ。

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